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カイラース・コルラ最後の1周 / 2日目 

10月6日 カイラース・コルラ3周目の後半です。

 目覚めは最高。この朝も、朝日を浴び輝くカイラースに手を合わせます。昨日はありがとうございました。今日もよろしくお願いします。

 僧院の食堂でツァンパの朝食を頂き、合計で3泊お世話になったお坊さんたちにお礼を述べます。もうディラ・プク・ゴンパに来ることはありません。次に来るとしたら・・・、10年後か、20年後か・・・。いつになるか判りませんが、いつか必ずカイラースを再訪することでしょう
 9時半、早めに僧院を出発しました。古林さんとは別行動。カイラース北面最後の今日は、北面の近くまで行ってみることに。凍った川を渡り、カイラース北面正面の二つの山、観音と金剛手の間の谷を目指します。朝日がまだ差し込んでいない谷間には、夜の空気が残っていました。冷えますが、けっこうなハイペースで登っているので、登山ジャケットの下には汗を掻いていました。

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写真1)凍った川を渡り、目指すはあの谷間!

 40分ぐらいで一気に駆け登りました。腕時計を見ると、海抜5450m。まだ先に行けますが・・・、ここでストップ。今日は、タルチェンまで戻るので、体力の温存と時間のことを考えなければなりませんが・・・、理由はそれだけではありません。なぜか?これ以上登ることが躊躇われたのです。もっとカイラースに近付きたいんだけど、ちょっと怖い気がする。もしかしら、来るなってカイラースが言っているのかも? ・・・こういう時は、直感に従いましょう。これ以上は登りませんでした。写真を撮って、Uターン。巡礼路へ。

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写真2)観音(左)と金剛手(右)の間の谷を登り、カイラースへ迫る。

 谷を登って降りて、1時間半ほど時間を使いました。ディラ・プク・ゴンパを11時に出たのと同じスタートです。少し急がないと、日没までにタルチェンに戻れません。いつもの歩調ですが、休憩はなしで、ドルマ・ラへと向かいます。途中、大量の衣類が置かれた場所で、2周目に私が置いた帽子の前で少しだけ休憩。帽子の向こうにはカイラース・・・。 『もしかして、さっきのは驕るなよ。』って注意だったのかな?幸福感と充足感だけでは、足りないらしい。反省やブレーキも必要ってことでしょう。

 再び歩き始め、一気にドルマ・ラの麓までたどり着きました。ここでも休まず、険しい急坂を一気!「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・、スゥ~・・・・ハァ~・・・。」息が切れると少しだけ止まって深呼吸。ふと上を見ると、凄い勢いで下ってくる人影。『あっ!あの若いボン教のお坊さん!』 声をかけられませんでした。あっという間に、すれ違って行ってしまったんです。昨日が、彼の108周目かと思っていましたが、まだ回ってるってことは、今日が彼の108周目?? しかし、なんて速さで下ってるんでしょう・・・。あんなペースで下ったら、普通の人は確実に膝か足首を痛めます。
 小さくなった若いお坊さんの姿を見送り、私も超ハイペースで残りの坂を登り切りました。頂上に到着すると、今度は、おじさんのボン教のお坊さん。彼はいつも通りのペースみたい。笑顔で握手を交わすと、おじさんも行ってしまいました。お菓子でカロリー補給の後、ひと仕事。ドルマ・ラ頂上のタルチョ群に、私が持ってきたタルチョを加えました。このタルチョは、ガンデン寺で購入したもので、ラサからタルチェンまでの2100km、自転車の荷台ではためいていました。仏法がすべて風に溶け出したようで、ボロボロになっていますが、私がこの地に至った記念で結び付けました。(タルチョの説明はこちら→http://whereiskokoro.blog34.fc2.com/blog-date-200608.html#entry386

 タルチョ群の前で、旅の安全を祈り、最後のドルマ・ラの下りです。峠の東側には、ヨクモ・ツォという小さな湖があります。この湖には、仏陀の化身とされる子どもが落ちて消えたという言い伝えがあり、以降、子どもが落ちないように神様が厚く氷を張ったんだとか。夏でも氷が張ってるようですが、最近の冷え込みで、目に見えて氷の厚みが増しています。

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写真3)ドルマ・ラ峠の東側にある小さな湖ヨクモ・ツォ。

 今朝の遅れは登りの一気で、取り戻しました。下りは焦ることなく、いつものように慎重に行きました。ゆっくり険しい斜面を下り、慎重に雪渓を渡り、再び険しい斜面をゆっくり下り、峠下のテント茶屋に到着。ここの店員の兄ちゃんは、一昨日のタルチェンの祭りで見かけました。『もう戻ってるかな?ちょっと見てみよう。』テントの入り口をくぐり、「タシデレ!」

 「おぉっ!早いですね!」答えたのは、古林さんでした。その隣には、もうひとり日本人。一昨日、祭りの時にチラッと見ましたが、数日前にタルチェンに辿り着いたという青年・ヒラちゃん。本名は・・・、平なんとかでしたが、忘れてしまいました。彼もカイラースを13周するつもりだそうですが、「かなりシンドイから、とりあえず3周目指します。」とのこと。いやいや、13周する時間があるんだったらした方がいいのでは? 私もできることなら、13周してみたい・・・けど、時間がない。
 戻っていた店員の兄ちゃんから、5元のラーメンを購入し、軽い昼食。食後、3人で一緒に歩き始めました。話しながら並んで歩いていましたが、すぐに個々人のペースに。キャンプ道具を背負って歩くヒラちゃんは、「止まるとシンドイ」と休むことなく歩き続けています。私は考え事に入りやすい少し早めのペース。足を痛めている古林さんんは、後をゆっくり歩いています。
 コルラ3周目の後半です。最後の最後になってボンヤリと浮かんできた感覚は・・・『後悔』。カイラースに到着してから、今朝まで、ずっと高揚感と幸福感ばかりだったので、後悔や反省のようなマイナス方向の思考はありませんでした。しかし、ふと思い出したそういう思考・・・、 『巡礼って、自己反省の時間でもあるんだよな?』 そう思い始めると、ポツリ、ポツリと“後悔”が浮かんできました。上手くいかなかった恋愛、旅行のためとは言え半端で辞めた仕事、父への憤り、等等。それらは、旅立ち以降、何度も何度も自問してきた記憶ばかり。すでに消化できていたのか?ポツリポツリと浮かんではきますが、一度覚えた幸福感は変わりませんでした。それらの記憶に登場する人々にお詫びを述べたい気持ちもありますが、それよりも今は感謝の言葉を述べたい・・・『そうか、こういうことか!』 自分にマイナスに働く出会いや経験はないんじゃないんでしょうか?マイナスに作用する要素があっても、それ以上にプラスに作用する要素を含んでいるんです、きっと。そういう出会いや経験に対しても、感謝したいんです。

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写真4)前後を歩くチベタン巡礼者。

 2時間ほど、1人で歩きました。ズゥル・プク・ゴンパ手前で、ヒラちゃんと一緒になり、ゴンパの下の茶屋で、古林さんを待ちました。看板娘が今日もニコニコ働いています。「君、お祭りに来てた?妹と親父さんは見たけど。」そうなんです。この子を祭りの会場で見なかったんです。この茶屋で留守番だったようです・・・。妹と親父さんはまだ茶屋に帰ってきてないみたい。
 コーラを飲み終わった頃、古林さんが到着。彼が頼んだラーメンが美味しそうだったので、私も頼みました。急いでラーメンを掻きこんで、ズゥル・プク・ゴンパへ。2周目にも参観しましたが、コルラ最後の周の最後のお寺なので、もう一度参観。本堂でご本尊に手を合わせます。何を考えたか忘れましたが、多分何も考えてなかったと思います。頭の中はスッキリ晴れ晴れしていましたから。
 茶屋で会った友人と歩くというヒラちゃんを残して、私と古林さんの2人でズゥル・プク・ゴンパを出ました。午後の風を正面に受けながら進みます。3回しか歩いていない光景ですが、もっと沢山歩いたような気がします。巡礼路最後の10kmは、疲れが出ているので、印象に残りやすいのかも知れません。ゴンパから5kmほど進んだ川沿いの狭い道で、五体投地の巡礼者たちを追い抜きました。コルラ1周目の2日目朝に出会った人々。2周目は、ドルマ・ラの下りで会いました。そして今日はここ。進んでいる距離をざっと計算すると、やはり3週間ぐらいかけて回っているようです。 「タシデレ!あと5~6kmでタルチェンだよ!頑張って!」

 谷間を抜けると、今日も西日を受けたナムナニ峰が迎えてくれました。タルチェンまではあと3~4km。最後の1時間をゆっくり古林さんと歩き、午後8時10分、タルチェンに到着。いつものように、町から見えるカイラースの頭に向かって手を合わせ、1日の感謝を述べました。
 3周のカイラース・コルラは濃厚な時間でした。あっという間だったようで、凄く長かったようで・・・。ちょっと寂しい気持ちで宿に戻ると、アワンのおばちゃんが、「部屋変わったよ。」と。今まで使っていた部屋から、隣の部屋に変わっていました。隣の部屋に入ると、知ってる顔!「あっ!友井さん!」マナサロワール湖畔のチュ・ゴンパの温泉で会ったチベットマスターの旅人です。チベット語も話す、最高のチベットアドバイザー☆
 母屋に預けていた荷物を取りにいこうと部屋を出ると、野口君が駆け寄ってきました。「あっ!伊東さん!あの!自転車が!!」 その慌てぶりに恐ろしい予感がしました。『まさか!盗まれた!?』自分の恐ろしい想像力に血の気が引きました・・・。 「あの、自転車の荷台のゴム紐が切れちゃって!」 「えっ!そうなの?そんなのどうでもいいよ!」 まさかね、こんなチベットの山奥で自転車が取られることもないでしょう。ゴム紐くらいなら何の問題にもなりません。自転車と荷物を部屋に入れ、夕食へ。いつものカンティセレストランで、私のコルラ3周達成を祝いました。

 3周のコルラ達成、なんて言うと大袈裟過ぎです。歩いた距離は156kmだけです。13周(700km)に比べれば・・・。歩いた距離や時間は短いけれど、そこで得た体験は十分に大きなもの。明日は、カイラースのナンコルへ向かいます。まだ私の巡礼は終わっていないのです。
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