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地球みちばた見聞録 / 第17回 

2006年9月5日掲載

ラサ(中国・チベット自治区)滞在中

止まらない漢民族の移住


 チベットの都・ラサの空は青くて深く、手の届きそうなところを真っ白な雲が流れます。おの町の滞在も三週間。旅立ちから9ヶ月で初めての長期休養中です。
 日に当たる時間が短いので、真っ黒の顔も少し白くなり、チベット人と間違われにくくなりました。土産物屋から「コンニチハ」と日本語で声をかけられることも珍しくありません。
 チベット人と中国人(漢民族)と韓国人、そして日本人の顔は似ているようで違います。欧米人には難しいようですが、“当事者”の私には簡単に見分けがつきます。
 しかし、難しいのはラサを走る自転車タクシーの運転手たちです。真っ黒に日焼けしていても、よく見ると顔立ちは漢民族。客を待つ彼らを観察すると、中国語が飛び交っています。
 ふと気付くと、あちこちから中国語が聞こえてきます。それほどラサの街には多くの漢民族がいます。背景にあるのは、中国政府が主導する「西部大開発」。急激な発展が進むチベットには、雇用やビジネスチャンスを求めて、多くの漢民族が移住しているのです。
 しかし、この状況に危機感を抱き、中国を批判するチベット人は少なくありません。近年、チベット文化の独自性が薄れていることが指摘されています。しかし中国とラサを直結する鉄道が開通したこの夏は、とりわけ大きな波と考えられているようです。
 ある運転手は、チベット自治区に隣接する四川省からの出稼ぎだと教えてくれました。5年前にラサに来て、毎日ペダルを踏み続けています。
 「四川には行ったことあるかい?」
 突然、彼に聞かれました。うなずくと、真っ黒な顔にニカっと白い歯を浮かべ、「いい所だろ?」と心からうれしそうな表情を見せます。家族と遠く離れ、3500mを越える高地の強烈な日差しを浴び働く彼の笑顔に、複雑なチベットの現実を思い知らされました。

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掲載写真)ラサのシンボル、ポタラ宮(後方)を横目に走る自転車タクシー。出稼ぎの漢民族が多く働いている。

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関連写真1)ポタラ宮殿の正面には、国旗掲揚塔。その南側は大きな広場。更に南側には巨大なモニュメント。数年前、北京の天安門広場と全く同じに作り変えられた。

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関連写真2)街で見かけた大きな広告。チベット自治区成立40周年を祝う文句が掲げられているが・・・。

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関連写真3)国内旅行ブームの中国。この夏のラサは恐ろしいほどの混雑ぶり。ポタラ宮殿は連日、漢民族の観光客で溢れかえっていた。写真は、ポタラ宮殿入り口のチケット売り場。

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関連写真4)ラサでの休養中、もっとも長い時間を過ごした『タシ2レストラン』の従業員・チベット人一家。

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ラサ(中国・チベット自治区)滞在中

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